前回の第19話では、応募書類(履歴書・職務経歴書)の書き方やコツについて解説してきた。
特に転職活動では職務経歴書が合否を分けるポイントとなるので、まだ見ていない人はぜひ確認して欲しい。
前回のあらすじ
・転職の応募書類(新卒の就活でいうエントリーシート)には履歴書と職務経歴書があり、職務経歴書が重要
→書類選考を甘く見てはいけない(通過率は約20%)
→書類には履歴書と職務経歴書がある
→履歴書より職務経歴書の方が重要
・履歴書作成のコツと注意
→作成はパソコン(Word)が基本
→履歴書の評価は減点方式
→履歴書作成の注意点
∟誤字脱字がないように
∟項目に抜け漏れがあったり文章の量が少なすぎる(多すぎる)のは注意
∟顔写真にこだわる(ケチらずフォトスタジオなどプロに撮影してもらう)
・職務経験書作成のコツと注意点
→職務経歴書の基本
∟職務経歴書はあなたが活躍できるという「証明」
∟職務経歴書は漏れなくA4Wordで5-6枚。実績は具体的な数字で表現
∟職務経歴書はあなた側が主導権を握ってアピールできる唯一の機会(本気で作り込もう)
→職務経歴書のタイプ
∟時系列型
∟職能型
∟複合型(自分流)
→職務経歴書の具体的な書き方
∟タイトル
∟概要
∟役割
∟実績
∟「STAR」を意識しよう
→書類選考に受かりやすくなる職務経歴書のコツ6選
∟今の仕事と転職先の仕事の共通点や類似点を見つける
∟社内評価ではなく市場価値を意識する
∟次の面接でのツッコミどころを用意しておく
∟冒頭にサマリーを入れたり図解を入れても良い
∟量が多くなるなら勝負「これだ」というものをピックアップすることも重要
∟自分が何ができる(can)も大事だかウィル(will)も大事
→実際にWebマーケティング転職をした筆者の職務経歴書内容(副業ブログ部分)
・応募書類の送付状=送付案内(かがみ)
今回の第20話では、転職活動における「適正検査」や「SPI」、「入社試験(筆記・実技)」について、実際にWebマーケティング転職活動をした筆者の経験を含めながら解説する。
面接や書類選考と比べるとやや軽視されがちだが、選考や評価の参考となるため、しっかりと準備したい。
目次
転職活動における「適正検査」「SPI」「入社試験」(あなたをより正確に深く知るために実施される)
応募後または書類選考突破後は、企業によってSPIや適正検査がある場合がある。
内容は新卒の就職活動で出てきたようなSPIや適正検査とほぼ同じだ。
能力や性格をより客観的に評価することで、転職活動という短い期間の中であなたについてより正確に見極めるために行われる。
適性検査やSPI、入社試験が無く、書類選考と面接のみの企業も比較的多い。
転職エージェントを利用する場合も直接応募する場合も、求人票の「選考フロー」の欄に適正検査やSPIがあるかどうかは書いてある
適性検査(性格)は簡単なアンケートの様なモノだが、企業はあなたとマッチするかを見ている
適正検査では、主にあなたの性格や行動や考え方のパターンを測定している。
あなたの性格や能力が企業の文化や方針にマッチしているかを企業側が参考として見るために行われる。
そのため企業によって見る部分や評価項目も違う。
内容は簡単な質問(アンケートに近い)に対して、「はい」「いいえ」「どちらでもない」の3択か「どちらかと言えばそうだ」「どちらかと言えばそうではない」「どちらでもない」の3択から選ぶものが多い。
問題集で設問の量と回答ペースに慣れておく
性格以外の適正検査もあり、時事ネタや一般常識を問う内容であることが多い。
問題集や参考書があるので、1~2冊やって慣れておくことが重要。
質問や問題がパターン化されているため、慣れれば素早く回答できるようになる。
慣れていないと時間の配分に戸惑いやすく、回答数が基準に達していないと落選(お見送り)になる場合もあるので注意。
問題量と回答ペースを意識して練習しておこう。
支援会社は実施しない所が多く、事業会社側は実施することが多い
適正検査についてはWebマーケティングの支援会社側はあまり実施されなかった。
逆に企業が事業会社側なら、Webマーケティングだろうが、大手だろうが、ベンチャーだろうが、ほとんどの企業で適正検査が実施された。
適性検査(性格)はウソ×。ありのままで回答(Webマーケターの適正に寄せなくて良い)
適正検査(性格)でウソはダメ。
Webマーケターの適正に寄せようとして、ウソ偽りで回答したくたるのは分かるが、本当のあなたをありのままで解答するのが基本。
性格に関することは結構、同じような問題や質問をわざと繰り返すこともあり、解答に信頼があるかどうかチェックされることもある。
解答内容に矛盾(さっきと同じ質問なのに全く違った解答をするなど)があると、適性検査の結果が悪くなることがある。
直感で問題全てに回答するようにする。
ウソの傾向が多いと大幅に減点されたりマイナスイメージがついてしまう。
ウソをついて仮に企業へ入社できたとしても、適正や文化に合わず入社してからかなり苦労することになる。
またすぐに会社を辞めたり転職活動をしなければいけなくなる。
※【参考】企業がWebマーケターに求めたいこと
寄せてはいけないが、一般的にWebマーケターやWebマーケティング担当者に企業が求めたい能力やスキルは以下のとおり。
・論理的(ロジカルシンキング)
・数字や計算に強い
・分析や統計に強い
・継続できる、我慢強い
・自分から情報を積極的に取りに行く
・変化に柔軟対応できる
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SPIとは基本的な能力・学力検査(対策しないと結構難しい)
SPIは大学生の時に新卒就活で経験した人が多いと思うが、言語(国語)、非言語(数学)、性格/適性の3項目で構成されていることがほとんどだ。
SPIの受験内容(時間制限が結構シビア)
受験場所 | ほぼ自宅でWebを使った試験がほとんど(パソコンは自分で用意する) |
内容 | 言語(国語)、非言語(数学)、性格/適性の3項目 |
時間 | 言語、非言語、性格の3項目で65分がスタンダード。 設問1問ごとに制限時間が設定されているのもあり結構ギリギリになることが多くシビア。 試験が始めると同時に制限時間のカウントが開始され、残り時間がなくなると強制終了する。 |
備考 | 計算機やメモ用紙の使用はOK |
SPIは社会人として最低限の能力があるかどうかを見ており、性格は面接の参考にする
SPIだけで選考の合否が決まることはほとんど無い。
書類選考の結果と合わせるか、一次面接の選考と合わせて評価の一部や参考にする企業が多い。
主なチェックポイントは以下の3つ。
主なチェックポイント
✔︎ 社会人としての最低限の知識や教養があるか
✔︎ 転職者の言語(国語)と非言語(数学)能力を測って足きりする
→最低限の能力があるかどうかを測定するためにある(テストは同じでも企業ごとにボーダーラインは違う)
✔︎ 面接時に適性/性格診断情報を参考にするため
→適性検査の結果はチャートグラフで企業に通知される。
企業側は企業が求める人物像や性格にマッチしているか判断するために使用する。
性格や人物像に突出した傾向が出たら面接で突っ込まれる場合がある。
入社試験とは企業が独自に行うテスト(クセが強い場合もあるので過去の傾向を必ずチェック)
SPIや適正検査を実施している企業は比較的多いが、一部の企業ではそれとは別に、筆記試験や実技試験を実施していることがある。
試験内容は企業ごとに異なる(転職エージェントに過去の内容を聞く)
基本的に企業ごとに問題内容や出題内容、視点や評価項目が全く異なるため、転職エージェントから過去に出題された内容や問題の傾向について詳しく教えてもらうのが良い。
転職エージェントは転職活動中の人から企業別にどんな選考内容だったかを毎回ヒアリングしているため、過去のデータが溜まっているはずだ。
転職エージェントの活用方法や選び方については第16話を参考にして欲しい。
筆者が応募した企業の試験内容(参考)
入社試験は企業の応接室など個室で受験するパターンもが多く、面接当日に一緒に実施することが多かった。
筆者が応募したWebマーケティング会社では、一般常識を問う(いわゆる歴史や社会、政治経済など)ものが多く、支援会社側の会社では経営・財務・会計の知識(BS・PL)を問うものがあった。
筆記試験や実技試験があるかどうかは求人票の選考内容を確認しよう。
作文試験(小論文)がある企業もあるが、テーマは「入社後にしたいこと」「やってみたい企画」「作ってみたい商品」等のテーマで1度実際に書いて練習しておくと良い。
コンサルティングファームの試験はクセ強め。難しいため専用の対策が必要
Webマーケティングのコンサル会社やいわゆるコンサルティングファームは会計や経営に関するかなりガッツリした独自の試験があることが多い。
筆者も1社、コンサルティングファームに応募したが、実際の会議の録音を聴き議事録を作成したり、店舗ビジネスの改善方針をロジックツリーで表現するなどクセが強く難しい内容の問題があった。
コンサルファームでの試験や検査は普通のSPI対策だけでは太刀打ちできないため注意と対策が必要。
筆者の「適正検査」「SPI」「入社試験」対策方法
このパートでは、実際にWebマーケティング転職活動を行なった筆者がどのような対策をしたか?について解説する。
自分に合う部分は参考にして取り入れて欲しい。
対策や勉強する時期(応募後~1次面接まで ※もっと前からでもOK)
「適性検査」や「SPI」は一次面接の前か一次面接と同じタイミングで行われることが多い。
企業独自の「入社試験」は、企業によってまちまちだ。
筆者が受けた企業は最終面接と同じ日に行われるパターンもあった。
応募完了後、または書類選考突破後から面接日まで少し期間が空くため、その間はSPI・適性検査の準備と面接準備をしておこう。
SPIの言語(国語)と非言語(数学)については事前に対策が可能なため、もっと前から対策や勉強を始めても良い。
対策方法(問題集や無料の学習サイトで繰り返し問題を解きとにかくパターンと量に慣れる)
SPIについてはの問題集1〜2冊買って対策するか、無料のおすすめサイトがあるのでそこで勉強・対策をしておこう。
対策をしないと意外と時間がかかったり焦って結構失敗する。
逆に対策をすれば結構問題がパターン化されているので、あせらず余裕を持って解答できるし点数もアップするだろう。
対策のコツは、とにかく問題のパターンと解答するペース(問題量と時間)を覚えて、模擬問題をたくさん解いて試験に慣れること。
SPIや入社試験のおすすめ対策本
とりあえずこれ1冊あれば、問題のパターンや傾向について全て網羅できる。
最初に着手したいオーソドックスな問題集。
難易度はやや簡単で解説もしっかり書いてある。
最初にこれを買って、まだ余裕がある・物足りなければもう1冊追加で買うと良い。
内容は、知識がない人にとって少し難しい。
主に会計やファイナンスなど経営に関するざっくりとした部分を学ぶことができる。
筆者はコンサルティングファームの入社試験対策にこの本ともう1冊、会計(BSやPL)に関する参考書で学習した。
言語(国語)と非言語(数学)の無料おすすめ学習サイト
Study Pro(実践的で使いやすく学習の計画もしやすい)
ポイント
・よく出る問題順(対策優先度)と自分の学習状況(どれを前回間違ったか)がアイコンで見れるので、勉強の計画がしやすい
・非言語(数学)については問題量も多く、同じ公式や計算方法を使う問題もいろんなパターンの問題があって理解が深まる
・制限時間と経過時間を計ってくれてより実践的
・解答の解説ついて、分かりやすいものもあれば途中のプロセスでなぜそうなるのかが分かりにくいものも一部ある
一般常識一問一答.com
ポイント
・非言語(数学)の動画解説が優秀。解き方のプロセスが分かりやすい。動画もサクッと見れるので助かる
・シンプルな問題がたくさんあるので、SPI特有の問題量や解答スピードに慣れるのも使える
・SPI3だけでなく専門職や入社難易度が高い企業の応募試験であるような玉手箱やTG-WEB、GABの問題も用意されている
・言語(国語)の問題量があまり多くない
適性検査・SPI・入社試験対策の注意点・コツまとめ10選
このページでは転職活動における適性検査・SPI・入社試験について解説してきた。
まとめとして特に注意したい点、コツを10点まとめたので、振り返ってみよう。
ポイント
・適性検査(性格)は簡単なアンケートの様なモノだが、企業はあなたとマッチするかを見ている
・適性検査(性格)はウソ×。ありのままで回答すること(Webマーケターの適正に寄せなくて良い)
・入社試験とは企業が独自に行うテストで企業ごとに内容が全然違う(クセが強い場合もあるので過去の傾向を必ずチェック)
・SPIや適性検査は回答数や基準点に達しなければ不合格になることもある(全く対策しないと普通に落ちる)
・適性検査はSPIだけではない。会社や職種によって玉手箱·GAB·CAB·TAL·CUBICなどもある。
(企業や転職エージェントから試験のご案内としてURLが送れられてくるが、そのURLでどのタイプが分かることもある)
・コンサルファームでの適性検査や入社試験は難しい。SPI対策だけでは太刀打ちできないため独自の対策が必要
・受験する会社の適性検査の種類や試験内容を調べる
・企業へ応募したらSPIの問題集1〜2冊買うか、おすすめサイトで勉強・対策する(もちろんもっと前から対策してもOK)
・問題集やおすすめサイトでの勉強は必ず1周は絶対網羅して、2周目は1周目で間違った問題を重点的にやる
・本番当時は試験環境をしっかりと(パソコンの充電や電波通信状況、騒音や電話、メモ用紙・計算機の準備など)
今回の第20話では、転職活動における「適正検査」や「SPI」について、実際にWebマーケティング転職活動をした筆者の経験を含めながら解説する。
次回の第21話では、Webマーケティング転職活動の面接全体に関すること(流れ・ポイント・コツ・注意点)について解説する。