前回の第7話では、転職活動のために無理して時間を割いて「資格」を取る必要はない。
未経験でのWebマーケティング転職なら、勉強している・やる気があるという証拠として余裕があれば取るのもありだが、資格を持っているよりも、「何ができるのか?何をしてきたのか?」という実践・実績・経験の方が重要視されている。
ということについて解説してきた。
今回の第8話では、逆に、転職する人全員がやるべき転職の「軸」の設定について解説する。
転職の「軸」は、「正しい判断ができる」、「転職活動の効率UP(スムーズになる)」、「後々の面接回答にも使える」など様々なメリットがある。
目次
転職を成功させるためには「軸」が必要
Webマーケティング転職に限らずだが、転職活動を成功させるためには自分の「転職の軸」を設定し、「軸」に沿って活動すると良い。
なぜなら、「軸」に沿った意思決定をすれば、後々、後悔もないし、何より正しい判断が可能。
転職活動の初期(1番最初)に「軸」をしっかり設定しておけば、面接で「ブレない回答」をすることができる。
Webマーケティング経験者も未経験者も、自分の転職の「軸」をまずは設定しよう!
「軸」がなければ何も始まらない。
転職の「軸」とは(転職の最大の目的そのもの)
転職の軸
ズバリ・・・「今回の転職で実現したい最重要項目」だ。
「転職の最大の目的」とも言える。
人によって「軸」は色々あるが、例えば「Webマーケティング職に就く」「年収を上げる」「土日休は絶対!」などだ。
ちなみに、大学生の就活の時に「○○業界に行きたい」など就活の「軸」を決めて新卒入社した人も多いと思うが・・・
転職の「軸」は、大学生の時の就活の「軸」よりも、もっともっと具体的に細かく現実的に設定する必要がある。
「軸」の設定は転職活動の1番最初にやるべき。
転職エージェントの初回面談で一緒に今回の転職の「軸」をしっかり設定するケースもあるだろう。
ちなみに転職の「軸」は自己分析や業界研究、転職エージェントとの面談、実際の企業の選考の中で、変化しても良いが、変化した経緯、なぜ変化したのかを自分の中でしっかりと納得でき他人に説明できるように整理しておこう。
転職の「軸」を設定するメリット
✔︎ 求人の取捨選択が楽になる
転職エージェントから大量の求人票が届きがちだが、自分の中でふるいにかけたり、自分に合っていない求人を効率よく排除できる。
✔︎ 迷わずブレずに最初から最後までやり通せてスムーズ
人間はつい他のことに目が移りがちだが、自分を自制するためでもある。甘い言葉や誘惑に負けてブラック企業に行くのも防げる。
「転職したい」と最初に思ったことを忘れず、本来の目的を達成するための道標、羅針盤、地図、核となるもののが「転職の軸」である。
【ポイントアドバイス】
転職活動は基本的に1人で行うことが基本だが、転職の「軸」はできれば色々な視点から深く自分のことを見つめる必要がある。
転職エージェントの担当者や転職活動をすることを言える信頼できる人に手伝ってもらって「軸」を設定するのも有効だ。
※会社のメンバーには転職活動をしていることはあまり言わないようが良い。
転職エージェントに関することは第16話にまとめてある。
どんなWebマーケティング転職の「軸」があるのか(条件まで具体的に掘り下げよう)
仕事内容の視点 | 職種、業界、未経験OK/NGなど |
お金の視点 | 年収(月給)、残業代、退職金、福利厚生、交通費支給など |
企業の視点 | 経験理念、方針、文化、社風、会社規模、社員数、平均年齢など |
働き方の視点 | 休日、残業、副業OK/NG、テレワーク、フレックス、時短、育休など |
キャリアの視点 | 転勤、異動、昇格、役職、人事制度、評価制度など |
自分の転職の「軸」に優先順位をつける(絶対に実現したいことは最低限決める)
次に
・絶対に実現したいこと
・できれは実現したいこと
・あまり重要視しないこと(実現できたらラッキー)
の3段階で自分の優先順位をつけて整理しておこう。
ワークシート(ググれば出てくる)やExcelなどでまとめておくと後で見返したり転職エージェントに相談する際、分かりやすいので必ず作っておこう。
ポイント
転職活動を進めるに当たって、何か意思決定をする時(応募企業を選ぶ時、面接に臨む、内定が出て入社する会社を決める時など)は自分の転職の「軸」の「絶対に実現したいこと」が実現できているか必ずチェックしよう。
他の「できれば実現したいこと」「あまり重要視しないこと(実現できたらラッキー)」が何個実現しようと、「絶対に実現したいこと」がどれか1つでも実現できていない場合は、その会社や意思決定は止めた方が良い。
逆に「絶対実現したいこと」が全てOKであれば「できれば実現したいこと」「あまり重要視しないこと(実現できたらラッキー)」が達成できていなくても良い。その会社や意思決定は正しい。
もし迷う場合、気持ちが揺れ動く場合は・・・
「今回の転職は何のためにやるのか?」
「今回の転職の最大の目的は何なのか?」
「何のために軸を設定して優先順位をつけたのか?」
を常に振り返って自分に問いかけよう。
その際に道標、羅針盤、地図、核となるもののが転職の「軸」である。
転職の「軸」に沿って転職活動を進めるべきだ。
「軸」に沿わなければ何も意味はないし、成功もない。
私のWebマーケティング転職の「軸」(Webマーケ転職の参考に)
参考に副業ブロガー歴1年半、30代前半、ほぼ未経験でWebマーケティング転職した場合の転職の「軸」を紹介しておく。
ちなみに私・れってい係長の詳しいプロフィールは第1話にまとめてある。
副業ブロガーサラリーマンはご参考に。
本音の転職の「軸」(面接官には伝えていない)
※絶対に実現したいことのみ
✔︎ 市場価値の高いWebマーケティングスキルを身につけたい(手に職つけたい/この先食いっぱぐれないスキルをつけたい)
✔︎ Webマーケティング職に就くことで副業ブログのレベルをあげたい
✔︎ 土日休み
✔︎ 年収は今より下げたくない(※後にこれが仇となり苦しむ)
✔︎ 勤務地は京阪神
建前の転職の「軸」(面接官に伝える)
※絶対に実現したいことのみ
✔︎ Webマーケティング職に就きたい
✔︎ 本業で自社メディアの運営をしているが紙が中心。今後はWebやデジタルの需要が高まるためWebマーケティングのスキルや経験を積みたいと思ったから
✔︎ Webマーケティングの領域でクライアントに価値を提供したいと思ったから(日頃の業務の中でWebマーケティングの需要が増えていると感じている)
✔︎ 副業でブログを運営することによってWebマーケティングの楽しさや可能性を感じたから
転職の「軸」が固まれば、そのまま面接の回答に使える(最初にやっておけば後が楽)
転職の「軸」を設定するメリット
面接での
「なぜ転職活動をしているのですか?(退職理由はなんですか?)」
「弊社への志望理由は何ですか?」
「入社後や将来、どんな仕事をしたいですか?」
「これまでのあなたの経験を弊社でどう活かしたいですか?」
の回答にそのままつながる。
転職の「軸」が初期の段階でしっかり固まれば、これらの回答が論理的(ロジカル)になり、面接での説得力が高まるし、熱意も伝わるだろう。
後々、面接回答は準備しないといけないので、やはり最初に「軸」を設定しておくメリットは大きい。
注意
面接では自分の本音の部分を話すのではなく、建前の部分を語ること!
間違っても「土日休みだから」「残業が現職より少なそうだから」「家から勤務地が近いから」など本音の部分を面接官に見せてはいけない。
参考に私・れってぃ係長の面接回答例(ロングバージョン)を紹介しておく。
あなたの転職理由(退職理由)を教えてください。
結論は「Webマーケティングのスキルをさらに高め、クライアントの実績向上に貢献したい」からです。
現職(メディア運営/法人営業)でも様々なクライアントやメディアの企画·制作を経験してきましたが、現職では紙メディアがまだ中心となっています。
しかし紙媒体では2つの弱点があります。
1.印刷の関係上、かなり前から制作が始まり、臨機応変な対応がしにくいため、感染拡大で不確実性が高い状況において非常に不利です。
2.効果測定も分かりにくく、企画終了後のレポーティングの際、具体的な数値でフィードバックできないことに私自身課題を感じています。
その反面、Webマーケティングであればこの弱点を克服できますし、各企業のDXも加速しており、今後Webマーケティングの需要はますます拡大してくると思います。
現職で早くから紙からWebへのデジタルシフトが実現できず、クライアントに価値を提供できていないことは現在の会社の一員である私の責任です。
今後は、早期に成果が出て、費用対効果が明確に数字で出るWebマーケティング領域のスキルを自分の中でさらに高め、よりクライアントの実績向上に貢献したいと思っています。
弊社への志望理由を教えてください。
今回の私の転職軸は、「Webをはじめ様々なメディア·コンテンツでのPR/企画の経験を活かすことができ、かつ自分のWebマーケティングのスキルを高め、クライアントの課題解決ができる企業へ入社」です。
その点、御社は○○や○○、○○事業など幅広くWebマーケティングという価値を顧客に対して提供されています。
私の「Webマーケティングスキルをさらに高めてクライアントの課題解決をしたい」というニーズを御社であれば満たすことができ、御社としても○○○という理由で求人(増員)を出されており、私と御社、両者のニーズがマッチしていると思い、応募いたしました。
数あるWebマーケティング会社の中でも、御社はクライアントの深く本質的な課題解決が可能だと感じています。
これは御社がこれまでWebマーケティング領域のスペシャリストとしてで○○○件を越えるマーケティング支援実績があり、独自の知識やノウハウがあるからこそ深いコンサルティングが可能であり、御社の強みであると言えます。
また、御社であれば、Webマーケティングの専門家がワンストップでトータルサポートをしてくれる点も顧客にとって安心できますし、より広いニーズに対しても本質的な課題解決が可能だと思ったため応募しました。
入社後や将来どんな仕事をしたいですか?これまでの経験をどう活かしたいですか?
主に次の3ステップ(短期、中期、長期)でキャリアビジョンを考えています。
1.短期
Webマーケティングのスキルを高めクライアントの課題解決をしたい
→現職での広報やメディア運営・企画の経験、個人のブログメディア運営の経験が活かせます。
2.中期
専門スキルをもったリーダー・マネージャー
→一定規模以上の案件や予算を任されるコンサルタントとしてクライアントに貢献しつつ、教育やセミナー、講演に引き抜かれるような人材になりたいです。
これは現職でWebメディアのデレクションやマネジメント経験、社員研修を全社向けに開催していた経験を活かせます。
3.長期
Webマーケティングの知見を活かしながら、クライアントの戦略や経営など上流工程においてにも良い提案ができるよう貢献していきたい。
その他の面接回答例は第22話で紹介している。
転職の「軸」を固めるには「自己分析」が必要(軸が固まらない場合は自己分析から)
転職の「軸」を決めたくても、中々決まらない場合もあるだろう。
Webマーケティング未経験の場合は特にだ。
どんな仕事をするか、どんな働き方なのか、どんな会社なのかも分からないし、イメージで想像するしかない。
そのような場合、自分をあらためて見つめなおす「自己分析」を行うことがオススメだ。
コツは過去~現在~未来の3つの視点で自分を整理し、具体的なエピソード(体験談)を絡めて解像度を高くしていくことだ。
自己分析のやり方
1 【過去】過去やってきたこと・体験
→どんな体験があってWebマーケティングをしたいと思ったのか
→Webマーケティングを志すきっかけは何なのか
→これまでのキャリアや経歴の棚卸
(もちろんWebマーケティングに関連するものがあればgood)
2 【現在】現在取り組んでいること
→Webマーケを仕事にするため、今現在どんなことに取り組んでいるのか?どんな努力をしているのか?(ブログ?Webマーケティングスクール?独学?)
→どんな仕事をしていて転職後、どう活かしていくのか?
3 【未来】将来やりたいこと
→Webマーケティングによってその会社の何をどうしたいのか?
→Webマーケティングによって何を届けたいのか?
→自分はWebマーケティングによってどう貢献・成長していくのか?
→自分はどのようなキャリアプランを思い描いているのか?
→世界や社会をどうしたいのか?
→それが実現できる会社なのか?
ポイント
※コツ:将来やりたいことは出口戦略も考えよう。
→そのままWebマーケティング会社で出世するのか
→独立するのか
→副業で年収UPするのか
→Webマーケのスキルを活かして自分で事業をする
→開業(起業)する=店をオープンする
→大手事業会社のWebマーケ会社へ転職する
→大手広告代理店へ転職するなど
※ただし企業(人事側)はできるだけ転職者に長く働いて欲しいと思っているので、出口戦略は面接で話すべきではない。
自分の中か転職エージェントだけに留めておこう。
その他、Webマーケティング転職で大切にしたいマインドは第4話にまとめてあるので合わせて確認して欲しい。
それでも「軸」がなかなか決まらない場合は一旦「Webマーケティング職に就く」を未経験の場合は転職の「軸」に設定しても良いだろう。
今回の第8話では、転職活動を成功させるためには自分の「転職の軸」を設定し、「軸」に沿って活動すると良い。
なぜなら、「軸」に沿った意思決定をすれば、後々、後悔もないし、何より正しい判断が可能。
転職活動の初期(1番最初)に「軸」をしっかり設定しておけば、面接で「ブレない回答」をすることができる。
ということについて解説してきた。
次回の第9話では、Webマーケティング転職に適したタイミングはいつなのか?について解説する。